矢作川 中畑橋を望んで

撮影:山中 寛三 会員

私の子供の頃から慣れ親しんだ矢作川は何時見ても美しい。昔は水車のついてガラ紡を織る舟が浮かんでいた。上り下りの舟の白帆が我が家の二階から見えた。今では何回もかさ上げして堤防が高くなり、白帆の舟もなくなって堤防以外は何も見えない。
 私の記憶では昔の中畑橋は木の橋で自動車は通れなかったように覚えている。今では架け替えて鉄の立派な橋になっている。
 昭和20年4月7日に私の乗っていた駆逐艦「磯風」の旗艦であった軽巡洋艦「矢作」は私の乗艦と共に徳之島沖で沈んだ。然し、矢作川は今でも洋々として目の前を流れている。