早春賦

早春賦

撮影:神谷 研 会員

残暑まばゆい北アルプスの山里の春は遅い。
四月末から五月上旬にかけて、やっと桜やコブシの花が咲いて、野原には、ふきのとうやつくし、タンポポの花が芽を出している。陽が昇ると共に、春らしい暖かさとはなるが、早朝の田圃の水には、薄氷が張って、指先がしびれる様に冷たい。
「春は名のみの風の寒さや……」と早春賦にも謳われた山里の早朝である