高血圧症の話

 講師:上平知子( 平成12年10月30日講演)


高血圧の合併症と予後,リスクファクター,治療・予防について述べた。

  1. 高血圧症とは?

    「血圧」は全身を循環する血液が血管壁に与える圧力のことです。血圧は心臓の拍動とともに変化します。心臓が収縮したときの値を「収縮期血圧」または「最高血圧」,拡張したときの値を「拡張期血圧」または「最低血圧」といいます。標準値は140/90mmHgで,高血圧症はどちらか一方あるいは両者がこれより高い状態を指します。高血圧の95%は原因の特定できない本態性高血圧です。

  2. 高血圧症になると何がおこる?

    高血圧は直接の死因とはなりませんが,日本人の三大死因のうち脳卒中・心臓病の二つにかわっており侮ることはできません。

    高血圧そのものはほとんど自覚症状がありませんが,放置しておくと血管がもろく,動脈硬化が生じて心臓,脳,腎臓に重篤な病気がおこりやすくなります。心筋梗塞,脳卒中,腎不全などです。また常に負担がかかるために心臓そのものの機能を低下させることもあります。

  3. 高血圧になりやすい人は?

    加齢とともに高血圧は増えます。50歳代の男性の52%,女性の37%,70歳代では男性69%,女性61%が高血圧という統計もあります。

    高血圧になりやすい体質は遺伝します。親兄弟に高血圧の方がある場合は要注意です。それに加えて塩分のとりすぎ,肥満,喫煙,ストレス・過労,運動不足,アルコールのとりすぎなども高血圧の危険性を高めるといわれています。また高脂血症・糖尿病に高血圧が合併する場合は動脈硬化が進みやすくなります。

  4. 予防と治療

    軽症の高血圧ならまず食事療法・運動療法をすすめます。改善の見られない場合は薬物療法を併用します。食事療法は減塩がもっとも大切で一日の塩分は5~7グラムとします。肥満のある場合はカロリー制限(糖分,脂肪分)が必要になります。また血圧を下げる作用のあるミネラル類を多く含む野菜類をとるようにこころがけます。運動療法はウオーキングなどの軽めの運動を30分または週に3回一時間位するのが理想的です。

    また前項でも述べたようなライフスタイルの是正も大切です。日常生活の中でストレスをためないように気分転換をはかり,過労や睡眠不足にならないようにしたいものです。たばこはやめアルコールはほどほどにとどめましょう。入浴は40度くらいのぬるめのお湯にゆっくりつかるようにし,冬季は特に生活環境の保温に気をつけて下さい。トイレでは便秘でりきまないこと,寒いときは暖房するのが望ましいと思われます。

    血圧を下げる薬は非常に多くの種類がありますが,指示された飲み方を守ってください。人によってはいろいろな副作用が出ることもありますので異常を感じたときは主治医に相談して下さい。また血圧の値は変動しますので定期的にチェックをうけて下さい。家庭での血圧測定ができれば診察の時非常に参考になります。

    また他の薬を飲むとき(たとえばかぜなど)血圧の薬をやめてしまう方が有ります。そのつど医師に相談していただくのがいちばんよいと思いますが,ほとんどの場合影響はありませんので血圧の薬は続けて下さい。

高血圧と上手につきあうためには…

薬だけではなく,食生活・ライフスタイルを見直して,健康を保ちましょう。