老人健康診査のすすめ

 講師:坂部慶幸( 平成11年8月27日講演)


我が国の公衆衛生の発展と医療の進歩に伴って感染症は大幅に減少した。これに変り,ガン・心臓病・脳卒中からなる三大成人病が主要死因となった。人口の老齢化に伴ってその傾向は益々強くなり,今後成人病の予防・早期発見・早期治療がいよいよ重要となってきた。しかし老人の多くは心身の機能低下により慢性の疾患を持っており稼働能力は低下している。更に,核家族化の進行に伴う扶養意識の低下という社会情勢の変化は老人にとって健康保持するに必ずしも良好な環境ではない。

国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保のため疾病の予防・治療・機能訓練などの保健事業を総合的に実施し,国民保健の向上と老人福祉の増進を図る目的で昭和58年2月に老人保健法が実施された。老人保健法は医療と医療以外の保健事業に大別される。後者のなかに健康診査が含まれる。

健康診査には問診・身長・体重・肥満度・血圧・検尿といった一般診査と,同時に行える精密診査とがある。精密診査には循環器検査(心電図・眼底検査・血液検査―総蛋白・総コレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪・尿素窒素・クレアチニン)貧血検査(赤血球・白血球・ヘマトクリット・MCV・MCH・MCHC)肝機能検査(GOT・GPT・γGTP)糖尿病検査(血糖値,HbAlc)がある。動脈硬化症の早期発見・早期予防のために,何度も受診する必要がある。

碧南市はガン検診も実施している。ガン検診には胃ガン検診・子宮ガン検診・肺ガン検診・乳ガン検診・大腸ガン検診がある。ガンは早期に見付ければ100%治すことのできる時代になってきており,結果は恐れずに積極的に病気に立ち向かう姿勢で検診を受診してほしい。