夏によくみられる病気について

 講師:杉浦勇人( 平成11年7月9日講演)


戦後飛躍的に平均寿命が延長した理由としては食生活,衛生状態の改善があげられると思います。また,医学の進歩に伴い多くの病気の原因が解明され,治療成績も飛躍的にのびています。しかし,夏は比較的死亡率が高い時期なのです。いわゆる3大死亡原因である脳卒中,心不全,ガンなどがおこりやすく肝炎,腎不全なども多くなります。原因としては,夏はどうしても汗の量が多くなり,血液が濃縮して循環が悪くなり重要臓器への血流が悪くなること,また食事もさっぱりしたものが多くなり水分の摂りすぎから血液中の赤血球の数がへり,貧血などになりやすいことなどが考えられます。

意外な感じがしますが,夏には比較的かぜも多いのです。原因は部屋を閉めきってクーラーをかけるためウイルスに感染しやすく,さらに不眠や食欲の低下などから十分な栄養がとれずに,長引きやすいのが夏かぜの特徴です。このほか,夏には一般的に暑気あたり,夏ばてなどといわれる症状,たとえば,目覚めが悪い,立ちくらみがする,寝付きが悪い,トイレが近い,だるい,太った,昼になっても顔が赤くなる,喉に違和感がある,夕方になると肌が荒れる,めまいがするなどの症状が見られることがあります。

比較的よく見られるこれらの症状の中に隠された重大な病気があることを忘れてはいけません。例えば,物忘れがひどいー甲状腺機能低下症,体重増加―糖尿病,イライラ,動悸―高血圧,顔や目蓋がむくむー腎臓病,手のひらが赤いー肝臓病,足の浮腫―心不全,昼でも眠たいー自律神経失調症,外出がおっくうーうつ病などであり,十分な注意が必要となります。これから本番を迎える夏に向かって自分の健康を維持するためにもっとも大切なことは食生活,日常生活を規則的にすることです。また無理することなく十分な休養をとることも必要です。そして少しでも異常が見られたら早めに病院を受診されることをお薦めします。今年も碧南市では8月から老人健康診断が始まります。是非この機会を利用して自分の健康を守っていただきたいと思います。