講師:杉浦勇人( 平成12年9月4日講演)
今年4月から介護保険が始まりました。今日は介護保険について少しお話します。介護保険というのは「介護が必要な状態を保険事故と位置づけ,みんなで保険料を払ってそれを財源にして介護サービスを提供し,社会全体で介護を必要としている人たちを支えていこうとする制度。」と定義されています。65歳以上で介護が必要となった人はその原因を問わずに対象になります。また,40歳から64歳の人は特定疾患が原因でおきた病気が介護の対象となった場合のみが介護保険の対象となります。従来あった社会福祉制度と異なり介護保険制度ではそれぞれの介護度に合わせてサービスをお金をだして受けることになります。現金を支払ってもらうものではありません。財源となる介護保険料は40歳以上の国民全員が支払う強制保険です。支払方法については40歳から64歳までの人は加入している健康保険によって,65歳以上の人については原則として年金から毎月天引きされるシステムになっています。介護保険を受けるには市町村に申し込みをしなければなりません。申請をうけて初めて市町村は介護サービスが必要かどうかの審査をします。これは介護認定審査会で行われますが,ここでの決定に基づき介護度が決定されます。要介護度の区分としては,自立,要支援,要介護1から5までの7区分があります。
支給限度額もそれぞれの区分で決まっており,支給されたサービスに対する金額の一割は本人が支払うことになります。介護保険にはいろんなサービスがありますが,大きく分ければ在宅サービスと施設サービスになります。施設サービスは入所です。在宅サービスとしては家庭を訪問する(訪問介護,訪問看護,訪問入浴,訪問リハビリ等)サービス,日帰りで通うサービス,福祉用具の貸与,購入,住宅の改修などのサービスがあります。
自分に合ったどのようなサービスを受ければよいかはケアマネージャーと相談して決定します。介護保険は始まったばかりであり,医療保険との使い分けなどさまざまな問題点は山積していますが,時間の経過とともに改良され現実に合ったものになっていかなければなりません。